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WindowsマシンにMacOSインストールを可能にする「EFiX」、CEOに戦略を聴く

2009/02/16 15:39

 WindowsマシンにMacOSをインストールできるようにする小型のディバイスEFiX(イー・エフ・アイ・エックスまたはエフ・エックス)。08年9月に台湾のArts Studios Enterainment Medhia社が発売したこの小さな箱がひそかな話題を呼んでいる。製品PRのために来日した、デイビッド・ルチリアーノCEOに製品の概要や今後の戦略について聴いた。

冗談を交え終始笑顔で語るデイビッド・ルチリアーノCEO

試作品の製造請負ビジネスから、自社製品の製造販売に大転換



 EFiXは、デスクトップPCのマザーボードにあるピンヘッダUSBポートに直接接続することで、Windows用PCにMacOSをインストールして利用できるようになる画期的な製品だ。対応マザーボードやビデオカードは、まだ数えるほどしかないが、対応機器であれば、ほぼ完全にMacOSを利用できるようになるのが最大の特徴だ。

 この、全く新しい製品を開発したArts Studios Enterainment Medhia社は、02年に台湾で設立。主に音楽や映画を製作するプロの現場で使用する機器や医療機器の試作品の製作を請け負うビジネスを展開していた。4人の経営陣に加え、営業・製造関連を含め最大で400名程度の体制で運営している。08年9月、一般消費者向けのIT市場で自社製品を製造・販売するビジネスへ主要事業分野を転換。その最初の製品がEFiXだ。

 発売当時はドイツの工場で1個ずつ手づくりし、200個を販売した。その後、工場をオランダに移して大量生産を開始。発売からこれまで、全世界で約1万個を売り上げた。価格はおおよそ230米ドル前後。日本では10月にテスト販売を開始し、約1000個を販売した。2月に本格的な販売をスタート。現在、直販サイトの「SZ Expres」や東京・秋葉原や大阪・日本橋の専門店店頭でも取り扱っており、2万円前後で販売している。

中央がEFiX本体、同梱は延長ケーブルとロゴシールのみ

グレーゾーンの製品だが……



 動作の仕組みは、マザーボードのBIOSをバイパスすることで、Windows用のマシンにMacOSのインストールと動作を可能にするというもの。インテルのEFIサブシステムに準拠し、さらにそれを拡張したディバイスだ。アップルのマシンでWindowsを動かす「Boot Camp」とは仕組みが異なり、OSを介さずにハードウェアを直接制御するため、高速に動作する。残念ながらデスクトップPC専用で、「ノートPC用製品の発売は考えていない」(ルチリアーノCEO)という。カスタムCPUと大容量メモリで構成されているディバイス本体は、同社が独自に開発した。

8ピンのコネクタに接続、必要に応じ延長ケーブルを使う

 既にパソコンは生活の一部になっていると語るルチリアーノCEOは、開発の目的について「OSごとに存在している垣根を取り払って自由にパソコンが使えるようにしたかった」と話す。しかし、これは極めてグレーな製品でもある。MacOSの「ソフトウェア利用規約」には、「お客様は、Apple商標が付されたコンピュータ以外のコンピュータにAppleソフトウェアをインストールし、使用し、稼働させないこと、または他の者にこれを行なわせないことに同意されたものとします」との記述があるからだ。EFiX自体の販売や購入は自由だが、これを使ってアップル以外のパソコンにMacOSをインストールすると、そのユーザーは利用規約違反に問われてしまうことになる。

 ルチリアーノCEOは、直接アップルとのコンタクトも取っていないとしながら、「今のところアップルからは特に反応はない」と話す。発売当初からヨーロッパの各メディアはおおむね好意的だった。「これまでなかった製品」と評価する記事が多かったという。一方で、同社自身がMacクローン製品を製造・販売していると誤ってスキャンダラスに報道されたこともあったようだ。いずれにせよ、グレーゾーンの製品であることには間違いなく、試そうと考えるユーザーは、その点を覚悟しておいたほうがいいだろう。

画期的な製品をリリースし続けたい



 EFiXの販売目標について、全く新しいディバイスなので予測が難しいしながらも、「年間2-3万個の販売を目指す」(同)としている。現在のところ、まだ大きな利益は出ていないが、売り上げは順調に伸びており「近い将来大きな利益を生むものと信じている」と力強く語った。さらに、搭載されているカスタムCPUは高機能で、他の用途、例えば医療分野にも転用できるという。既にがんの研究の分野に応用することも考えており「このEFiXはある意味、自社の技術力をアピールするための製品」でもあるようだ。

 同社ではEFiX以外にも製品のリリースを計画しており、夏以降に市場投入する予定。今後も、年間2-3製品を発売するペースでビジネスを展開していく方針。高速なメモリユニットを始め、無粋なLEDのない上質な素材を使ったオシャレなPCケースなど、PC周辺機器を中心に製造・販売していく計画だ。

 ルチリアーノCEOは「将来、可能であれば高品質の製品が製造できる日本にも工場をおきたいと考えている」と語る。今後、日本の市場でのビジネス拡大を大いに期待しているようだ。最後にどんなメーカーを目指すかについてたずねたところ、「画期的な製品を作り続けるクールなペリフェラルメーカーでありたい」と笑顔で語った。(聞き手:BCN・道越一郎)

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